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1.診察担当医の紹介 (クリックするとさらに詳しい情報がございます)
チーフ 講師 大内田 研宙
スタッフ 准教授 森山 大樹
スタッフ 助教 進藤 幸治
2.扱う疾患
A) 胃癌、食道癌、胃十二指腸良性腫瘍、胃十二指腸潰瘍
3.上部消化管外科の概要

 当科では、良性疾患や早期癌はもとより、進行癌に関しても手術侵襲の低い鏡視下手術を積極的に採用して、 術後の疼痛軽減や全身合併症の減少に務めています。 例えば食道癌に対する胸腔鏡下食道亜全摘手術や、胃癌に対する完全腹腔鏡下胃切除術などがそれです(下図1)。

 早期癌だけでなく、進行癌に対しても低侵襲手術は術後早期の化学療法の開始が可能であり、積極的に行っています。 また、早期癌で見つけるためには症状の無い時期に定期健診を受けることが大切です。

左: 従来の開腹創
右: 腹腔鏡下の創


 また、当科では2018年のロボット支援手術の保険収載に先立って、2013年よりda Vinci(Intuitive社)を使用した胃切除術を開始しました。da Vinci手術では、腹腔鏡下手術と比較して重大な術後合併症の一つとなりうる膵液瘻の発生率が低いことで知られており、今後もさらなる症例数の増加が見込まれます。

da Vinciを使用したロボット支援下手術
当科における食道癌の治療方針
 特徴1 創が小さく、疼痛が少ない
 食道癌の治療法には(1)切除術、(2)放射線治療、(3)抗がん剤治療があり、これら複数の治療法を併用することを、<集学的治療>と言います。我々の施設では食道癌治療ガイドラインに沿って治療方針を決定し、個々の患者さんに最良の治療を提供できるように心がけています。手術については、ほぼ全ての症例に腹臥位による鏡視下食道切除術を行っています。これは手術操作を胸腔鏡下および腹腔鏡下で行うもので、胸部には約1cmの傷が4〜6カ所つきますが、痛みが少なく、また肺を圧排することなく手術が可能であり、術後の重篤な肺炎などの合併症がかなり軽減されます。
治療アルゴリズム
(食道癌治療ガイドライン第4版より抜粋)
施設ボリュームと在院死亡率


年間手術件数が多い程在院死が減少傾向であることがわかります (Birkmeyer et al. N Engl J Med 2002より)
 Stage 0のように非常に早期の病変の場合には、内視鏡で病変部を切除すること(内視鏡的治療;ESD、EMR)で治療が完了する場合もありますが、Stage I-IIIの患者さんは手術による治療が主となります。
 食道癌の標準的な手術法は 食道癌を切除しリンパ節を郭清する「胸部操作」、切除した食道のかわりに新たな食物の通過経路としての胃管を作成する「腹部操作」、残存食道と胃管を吻合する「頚部操作」、から構成されています。
 食道癌手術は消化器外科手術のなかでも難易度の高い手術とも言われており、手術関連死亡が3〜4%(全国平均)と決して低くはありません。施設間によっても合併症の発生頻度は異なり、アメリカの報告ではある程度の年間症例数をもった施設の方が合併症例数は低いといわれています。
当科での食道癌手術【鏡視下手術(胸腔鏡、腹腔鏡)の導入】
―患者さんに負担の少ない質の高い手術をめざして―

 従来から行われてきた手術法は開胸開腹手術で、実際に目で見ながら、手で触りながら手術を行います。本方法では胸部、腹部に大きな創が必要となり、患者さんにかかる負担も大きなものとなります。当科では1998年以降、患者さんの負担をより軽減する目的で、胸部操作を胸腔鏡で、腹部操作を腹腔鏡で行う手術を開始し、多くの方々にこの術式を行ってきました。腹臥位による鏡視下手術により、出血量の減少と術後在院日数の短縮に成功しています。

従来の開胸開腹手術と比べた場合、鏡視下手術の利点は手術中の出血量が非常に少なく、術後の全身の重篤な合併症が少ないことです。さらに、創が小さいため術後の痛みが軽く、早期の社会復帰が可能であり、カメラの拡大視効果により微細な構造まで確認できるため、精度の高い手術が可能です。また、術後の腸管の癒着が軽度で、腸閉塞などの術後合併症が減少します。

一方で、 手術時間が延長する、高度な技術を要するため限られた施設や限られた医師でしか行えない、などの問題点もあります。当科では、近年ほぼ全ての食道癌患者さんに対して、鏡視下手術を施行しています。

当科食道癌手術に占める鏡視下手術の割合
ほぼ全ての食道癌の患者さんで鏡視下手術に成功しています
当科食道癌手術後平均在院日数
平均在院日数は11日です
 当科での鏡視下食道癌手術の方法
  右胸に4から6か所、トロッカー(12oと5o)と呼ばれる鞘を挿入します。そのうちの1つのトロッカーからカメラを挿入して液晶モニターに映像を映し出し、それを見ながらその他のトロッカーから様々な器械類を挿入し、食道周囲のリンパ節と病変を含んだ食道を遊離します。次に腹部にも同様にトロッカーを5か所挿入し、腹部のリンパ節の郭清と胃の遊離を行います。その後、臍部の創を4-5pに延長し(腫瘍の大きさと胃周囲の脂肪の量に規定されます)、病変を含んだ食道と胃を引き出し、胃の入り口付近を含めて食道を切除し、残った胃を管状に形成します。これを食道の代わりに頸部に持ち上げ、残った食道と吻合します。
胸部操作

腹部操作

 特徴2 微細な組織まで観察をする事ができ質の高い手術が出来る

胸腔鏡による手術所見1


カメラによる微細な構造まで確認できるため精度の高い手術が可能


胸腔鏡による手術所見2
 当科での鏡視下食道癌手術後の一般的経過 (胃管再建時)

手術当日:集中治療室入室
術後1日目:一般病棟転棟、歩行開始
術後2日目:飲水開始
術後3日目:食事(ゼリー)開始
術後4日目:五分粥開始
術後5日目:全粥開始
術後10日目:退院

 手術当日:集中治療室入室 術後1日目:一般病棟転棟、歩行開始 術後2日目: 術後3日目:飲水・食事(ゼリー)開始 術後4日目:五分粥開始 術後5日目:全粥開始 術後10日目:退院  当科の方法である、気胸下両肺換気鏡視下手術は呼吸への負担が少なく、手術当日に人工呼吸器からの離脱が可能となっております。それに伴い基本的に集中治療室(ICU)から一般病棟への帰棟も術後1日目、さらにはできるだけ術後1日目から歩行を開始して頂いております。経口摂取は術後3日目に開始する半固形食(ゼリー、プリンなど)から徐々に普通食に移行し、概ね10-14日目で退院の運びとなります。身体に優しい鏡視下手術は精緻な癌手術を可能とするばかりでなく、術後の患者さんの生活の質(QOL)をより良いものとするためにも有効な手術法と考えられます。最後に、喫煙される方の術前禁煙期間は術後経過に大きく影響しますから、食道癌とわかれば即禁煙をお願いします。

 一般的な開胸手術との創の違い


左:胸腔鏡手術創
右:従来の開胸手術
 

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