研修・入局案内
留学だより
当科では、たくさんの先輩方が海外留学をしています。そのいくつかをご紹介いたします。
留学だより 3
テキサス州・MD Anderson Cancer Center
(2010年入局) 伊達 健治朗
アメリカ テキサス州 ヒューストン MD Anderson Cancer Center
はじめに
2019年7月より米国留学の機会をいただいている伊達健治朗です。 テキサス州ヒューストンのMD Anderson Cancer CenterでMaitra教授の指導のもと膵癌の基礎研究を行なっています。 簡単ではございますが、私の留学生活を紹介させていただきます。
MD Anderson Cancer Centerについて
ヒューストンは米国の南部に位置しており、夏は強い日差しが降り注ぎ非常に暑いですが、冬は短く、温暖な気候で過ごしやすいです。 MD Anderson Cancer Centerは全米最大級の医療複合施設であるテキサスメディカルセンター内にあり、周囲には多くの医療施設が隣接しています。 著名な研究者も数多く在籍しており、講演などで他の建物を訪れると、ノーベル生理学・医学賞を受賞されたJames Allison博士に会うこともあります。 Maitraラボには世界各国から研究者が集まっており、中には飛び級でPhDを取得した優秀な若い研究者もいます。 出身国も様々で、各国の文化や考え方などを聞くことができるのは非常に興味深く、留学生活で得られる貴重な経験の一つだと思います。 ラボの日本人は現在私だけでまったく日本語が使えない環境ですが、メンバーは気さくな人ばかりで、 よく話しかけてくれますので、寂しい思いをすることなく仕事できています。今ではラボメンバーと毎日昼食をともにしており、一番楽しみな時間です。
研究室のあるSheikh Zayed Building。
全面ガラス張りのきれいな建物です。
研究について
研究のメインテーマは、当科の先輩が確立したIPMNマウスモデルを用いたGnas遺伝子変異の機能解析で、Gnas遺伝子変異と代謝および免疫の関連が主な研究内容です。 代謝では、Gnas遺伝子変異が代謝に与える影響を調べ、代謝イメージングを膵癌早期発見へ応用することを目標にしています。 また、IPMNの大半は癌化しませんが、これはGnas遺伝子変異が抗腫瘍免疫を誘導するためという仮説のもと、 single cell RNA sequenceを用いた免疫微小環境の解明を進めています。当研究室は臨床への橋渡し研究が最終目標で、 同僚からもFrom bench to bedsideという言葉をよく耳にします。 実験に没頭すると、結果を求めるあまり目標を見失いがちになりますが、少しでも患者さんのためになる研究ができるよう、残りの期間を過ごしたいと思います。
ヒューストンでの生活について
渡米して1年が経過し、生活にもだいぶ慣れてきました。ヒューストンはまわりに観光名所がほとんどないのが寂しいところですが、 週末は食料品などの買い物に出かけたり、公園で子供と遊んだりしています。本場のハロウィンやクリスマスなど、 旅行では味わえないアメリカの日常生活も貴重な経験となりました。留学についてきてくれた家族も元気に過ごしており、 料理好きな妻はオーブン料理やお菓子作りを楽しんでいます。4歳の長女はこちらのday careに通い、多くの友達もでき英語で歌ったり踊ったりしています。 今では寝言も英語です。2歳になる長男がアメリカで初めて歩き出したのも良い思い出です。 アメリカでの留学生活ではここには書き尽くせないほどの多くの貴重な経験をすることができ、家族にとっても一生の財産となりました。 新型コロナウイルスによりテキサス州も3月中旬にstay home orderが発令されました。 研究室も閉鎖となり不安な日々を過ごしていましたが、徐々に元の日常に戻りつつあります。また皆様と元気にお会いできるよう、1日も早く収束することを願っています。
おわりに
私の場合は留学先を先輩に紹介していただいたのですが、大学院時代に興味があった内容を世界最大級の研究施設でさらに深く研究できたことは 非常に幸運であったと感謝しています。海外留学を実現できたのも医局のサポートがあったからこそであり、 ご指導、ご支援いただいた先生方にこの場を借りて感謝を申し上げるとともに、この報告が海外留学を志す方々の参考になれば幸いです。
家族でロデオを見にでかけました。
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当科では、たくさんの先輩方が海外留学をしています。そのいくつかをご紹介いたします。