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診療案内

腫瘍免疫ゲノム外科

腫瘍免疫ゲノムグループでは、がん微小環境と遺伝子変異に基づいた
最新の治療にアクセスするためにがんゲノム医療を推進しています。

対応疾患について

すべての消化器がん、乳腺・甲状腺がん、肺がんの初期から転移・再発がんまで

患者さんへのメッセージ

個々に応じた治療効果とQOL(生活の質)を重視した治療を目指します。

がんゲノム医療は急速な進歩を遂げており、環境は目まぐるしく変化しています。個別化された最新の治療選択に到達するためには、 がんゲノム医療に従事する専門スタッフとご相談いただくことが最も安全な近道となります。また、患者さんそれぞれ医学的・社会的背景は多様であり、 それに応じて医療も様々です。そんな時「正しい知識こそが力」となります。私たちは、個々に応じた治療効果とQOL(生活の質)を重視した治療を目指します。

治療方針について

腫瘍免疫ゲノムグループでは、がん微小環境と遺伝子変異に基づいた最新の治療にアクセスするためにがんゲノム医療を推進しています。 ゲノム情報と手術療法・化学療法・分子標的療法・放射線療法・免疫療法などの治療法を組み合わせた臓器横断的取組みを行い、精密に個別化したがん治療を目指します。

診療担当医の紹介

診療グループの概要

1、得意分野

九州大学病院は、九州で唯一のがんゲノム中核拠点病院です。病理部による検査提出のためのサンプル評価・作成、エキスパートパネルによる検査結果の評価、 バスケット試験の実施に実績があります。また、臨床遺伝医療部と連携して、遺伝性腫瘍に対する遺伝カウンセリング、診断のための遺伝学的検査、 遺伝子変異をターゲットとした薬物治療、発症を予防するための切除手術、早期発見のためのサーベイランスを行うことが可能です。

2、診療体制

日本外科学会専門医、消化管・乳房・甲状腺・肺など各臓器のがん専門医、臨床遺伝専門医などの専門のスタッフが、十分な知識と技術をもって診療にあたっています。 臨床遺伝医療部と協働し、検査や結果の説明、遺伝カウンセリングも実施します。

3、診療方針

腫瘍免疫ゲノムグループは、がんゲノム医療に関する患者さんとご家族のさまざまな疑問にお答えし対応します。 必要に応じて遺伝学的検査、遺伝子パネル検査などを行い、正確な診断を目指すだけでなく、診断内容をわかりやすく説明し、 その後の対応などを一緒に考え意思決定をサポートしていきます。治療の開始にあたっては、手術や薬による治療(化学療法、免疫療法)、 放射線療法などについて充分な説明を心がけ、患者さんに十分な理解と安心を得られるよう「わかりやすい医療」を目指しています。

4、対象疾患

すべての消化器がん、乳腺・甲状腺がん、肺がんの初期から転移・再発がんまで

5、主な検査

穿刺吸引細胞診、針生検、CT、MRI、PET、遺伝学的検査、遺伝子パネル検査など

6、主な治療

  • 手術
  • 化学療法(術前・後、進行・再発に対して)
  • 内分泌療法(ホルモン治療)
  • 分子標的治療
  • 遺伝カウンセリング

7、学会施設認定

日本外科学会、日本癌治療学会、日本人類遺伝学会、日本消化器外科学会、日本乳癌学会など


 

がんゲノム医療への取組み

組織や血液検査を用いて、いちどに多数のがん関連遺伝子を調べることで、標的を同定し、治療に結びつけます。


No 検体採取部位 採取方法 推奨治療 遺伝カウンセリング推奨
1 原発巣 手術 なし なし
2 原発巣 手術 あり なし
3 胸壁 手術 なし なし
4 リンパ節 生検 あり なし
10 転移巣(肝) 生検 あり なし
12 転移巣 (卵巣・卵管) 手術 なし なし
16 転移巣(肝) 生検 なし なし
21 転移巣(肝) 生検 なし なし
22 胸壁 生検 あり なし
23 原発巣 手術 なし なし
27 皮膚 生検 なし なし
30 原発巣 手術 なし なし
34 皮膚 生検 あり なし
35 原発巣 手術 なし なし

次世代シーケンサーを用いたがん遺伝子パネル検査実績(乳癌)

 

遺伝性腫瘍への取組み

1)遺伝性乳癌卵巣癌症候群

遺伝性腫瘍である遺伝性乳癌卵巣癌症候群に関連する遺伝学的検査を積極的に行っています(保険適応)。 変異陽性者に対する、遺伝カウンセリング、予防的治療、早期発見のための画像検査(サーベイランス)などをご提供します。

2)その他、乳癌に関連する遺伝性腫瘍

  • Li-Fraumeni症候群
  • Cowden病
  • Lynch症候群 など

 

トランスレーショナルリサーチ(橋渡し研究)

腫瘍免疫ゲノムグループでは、臨床・腫瘍外科の腫瘍研究室として、がん微小環境を中心に、基礎研究を行っています。 当研究室では歴史的に、乳がんの発がんや増殖因子(ヘッジホッグシグナル)、薬剤耐性機構の解明をはじめ、難治性乳癌の標的治療としての乳癌幹細胞の研究を主に行ってきました。 近年では、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、PD-L1、T-bet、グランザイムB、ネオアンチゲンといった腫瘍免疫に関わる分野、BRCAnessを中心とした遺伝性腫瘍、 さらにはシングルセル解析、人工知能(AI)診断などバイオインフォマティクスを駆使した研究にも取り組んでいます。

一方、オートノミーや細菌(マイクロバイオーム)ががんに与える影響など、ユニークな視点での研究も行っています。 これらは、基礎研究にとどまらず実際の臨床との関連性を解析しながら進めています(トランスレーショナルリサーチ)。 これらの結果は、近い将来、がん患者さんのための診断や治療、ひいてはがんの予防に寄与できるものと確信し、日々研究に取り組んでいます。