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留学だより

当科では、たくさんの先輩方が海外留学をしています。そのいくつかをご紹介いたします。

留学だより 6
ジョンズ・ホプキンス大学での研究留学

(2014年入局) 川元 真

アメリカ メリーランド州 ボルチモア ジョンズ・ホプキンス大学

はじめに

 2019年4月よりアメリカ東海岸メリーランド州ボルチモアのジョンズ・ホプキンス大学に留学する機会に恵まれ、 現在Dr. Goggins研究室で膵癌研究に従事しております。簡単ではありますがアメリカ生活、研究内容などご紹介したいと思います。


ホプキンスドーム

ジョンズ・ホプキンス大学

 大学のあるボルチモアは 日本から直行便のあるワシントン・ダレス国際空港から車で1時間半のところに位置するメリーランドの中心都市です。 かつて野球の上原投手が在籍したオリオールズや、アメフトではレイブンズの本拠地でもあります。ジョンズ・ホプキンス大学は世界初の研究大学院として設立され、 過去より現在に至るまで医学診療・研究の分野で世界を牽引している名門大学です。 昨年10月にはグレッグ・セメンザ教授がノーベル生理学賞を受賞されにわかに盛りあがりました。 鮮やかな赤い建物の病院玄関にはホプキンスのアイコンであるクラシカルなドームがあり、日差しによって刻々と変わる表情がとても美しいです。 中に入ると各棟にはかつて教鞭をとったハルステッドやオスラーなど、医師であれば一度は聞いたことのある巨人の名前がつけられており、 さながら医学博物館のようでもあります。大学講堂では毎日のように教育講演があり、また世界中から留学生が押し寄せるとても活気のある大学です。


Goggins教授(左)とラボメンバー

ラボでの研究

 私はDepartment of Pathology内にあるSol Goldman Pancreatic cancer centerという研究施設の中で膵癌早期発見研究室を主宰されている Dr. Gogginsのラボに所属しています。Goggins教授はアイルランド系アメリカ人の内科医で、消化器内視鏡や外来をこなしながら精力的に研究を行っています。 少しでも時間があれば実験室に足を運び、いつも快く研究の相談に乗ってくださることは大変ありがたく感じています。 ホプキンスでは膵癌早期発見のための前向き研究(CAPS study)が行われており、膵癌ハイリスク患者やその中で膵癌に至った患者のサーベイランス時の 血液、膵液、嚢胞液などの貴重なサンプルが解析可能な大変恵まれた環境にあります。 当研究室では、これまでCAPSの大規模コホートを次世代シーケンサーを用いて遺伝子解析することで、膵癌早期発見を目指した様々な研究が行われてきました。 その成果は、膵癌早期発見に寄与する疫学的なデーターを発表したり、感受性遺伝子を同定機能解析するなど、とても影響力のあるものばかりです。 その様な中、私は新たな膵癌感受性遺伝子の同定及び機能解析を任されています。治療の難しい膵癌の危険因子を明確にすることで、早期発見につなげ、 予後を改善することを目指す大変やりがいのあるテーマだと思っています。 ラボメンバーにはアメリカ、レバノン、ブラジル、韓国など様々な国からのポスドクが在籍し、何気ない日常会話が文化・考え方の違いを知るきっかけになり 視野を広げることができます。


自宅前の中庭で留学生ファミリーと

留学生活

 生活環境ですが、ダウンタウンにある病院研究室から車で30分ほどの郊外に住んでいます。緑があふれリスや鹿、夏にはホタルが庭で飛び交い癒やされます。 ここは古くからホプキンスの日本人留学生が住んできた集合住宅で、様々なバックグラウンドを持った留学生と交流することができます。 また週末には気軽にワシントンDCやニューヨークへ車で出かけることもできます。慣れない土地でうまくいかないことも多く、 特にCOVID19によるロックダウンは想定外でしたが、歩き始めたばかりの娘の成長を見守ることができ、家族の笑顔に支えられた貴重な時間になりました。

おわりに

 留学中に得られた経験は私にとって何物にも代えられない貴重な財産となりました。帰国後はここで得た経験を生かして、膵癌治療に貢献したいと思います。 最後になりましたが、大学院時よりご指導いただき、今回貴重な留学の機会を与えてくださった第一外科の先輩方、 多くの方々に支えられて今回の留学ができていますことを深く感謝いたします。


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